公と民 4
大阪住宅供給住宅裁判では結果的には
和解で終結しています。
ここでもう少し検証してみましょう。
みなさんが賃借人の立場だとすると、
勝った!となるでしょう。
みなさんが賃貸人の立場とすると
負けた~となり、
「修繕費負担区分表」を以ってしても
ダメか~とうなだれるでしょうね。
しかし、最高裁の判決文を丁寧に読んで
みると、必ずしも否定されていないのですね。
簡単に言えば、
通常損耗を賃借人に負わせる事はダメですよ。
しかし、通常損耗の負担に関して、賃貸人から
賃借人へ明確な説明がなされ、かつ、賃借人が
通常損耗をも負担するものと明確に認識し、
それを合意した内容として認められるなどの
特約事項は相当である。
つまり、
契約時において、(通常損耗も負担)
との特約事項がきちんと説明され、その説明に
明確な意思表示の下で合意されたならば、
契約自由の原則から認められる。
でも?と疑問符をつけられた方もいらっしゃる
でしょう。
そうですね。
(通常損耗も負担)との特約事項は消費者契約法
第10条での争点ともなりえます。
消費者契約法第10条と原状回復での争点では
異なった判決になることも予想されます。
これが(法理論の凄み)ですね。
これは、私の私見ですが、
公社の敗因の一つに、「修繕費負担区分表」は
説明会場にて「しおり」として渡されていました。
若干の説明はなされたかも知れませんが、
入居申込者が(明確に認識)し(明確な合意)を
したかです。
異議あり!とされた方、つまり、賃借名義人は
説明会場に行っておりません。
身内の方が出席され、「しおり」を持ち帰って
賃借名義人へ渡したのみです。
(十分な説明)と(明確な認識・合意)が
希薄であった。
これが(和解)の背景だと私は思いますね。
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