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2008年6月25日 (水)

落とし穴

家賃債務保証とは?

賃貸人から高齢者円滑賃貸建物として、都道府県知事に対して登録申請をする。

申請受理後、都道府県知事は、財団法人 高齢者住宅財団へ登録をする。

高齢者住宅財団はホームページに、高齢者円滑賃貸建物として掲載する。

これが登録から掲載までの流れである。

家賃債務保証は、この(登録)が前提条件となる。

登録された高齢者円滑賃貸建物賃借人に高齢者が入居申し込みをする。

入居申し込みにおいて、賃貸人は賃借人へ家賃保証債務制度を説明し、

賃借人から財団へ家賃債務保証を申請する。

但し、賃貸人が家賃債務保証の活用をしない場合は、説明義務はない。

あくまでも、活用は任意である。

家賃債務保証では、賃借人が家賃滞納の場合、6ケ月分相当が保証となる。

但し、賃借人が退去した後となる。

又、原状回復費用及び訴訟費用として9ケ月分相当が保証となる。

保証期間は2年であり、2年更新であるが、更新は任意である。

保証料は家賃の35%。

では、何故これが落とし穴となるのか?

賃貸人からの考察。

家賃債務保証は賃貸人にとって、重要な契約条項となる。

トラブルを仮定した場合。

家賃債務保証の条件で入居したが、賃借人が更新をせず、

さらに、3年目から家賃が滞り始め、最悪の訴訟となる。

賃貸人は訴訟費用を財団に請求するが、賃借人の更新切れで支払い拒否。

結果的に賃貸人は訴訟費用・原状回復費用・滞納家賃の全てが損害金となる。

一般の建物賃貸借契約でも同様な結果となるが、(家賃債務保証)は契約の

重要な条件である。ここが一般との違いとなる。

賃借人からの考察

2年更新であり、2年毎に家賃の35%負担となる。

又、

賃貸借契約は2年更新との双方合意であれば、2年毎に家賃の2ケ月分負担となる。

建物賃貸借契約における更新は訴訟問題にも影響している。

今年1月の京都地裁では支払い済みの更新料に是とした判決がなされたが、

更新料の是非を巡って高裁へ持ち込まれた。

家賃債務保証を活用する賃貸人にとって、賃借人が(2年更新)を「するか・しないか」

は重要な問題であり、任意でなく(賃貸借契約の条項の履行義務)となる。

賃貸人からすれば、賃借人が家賃債務保証の2年更新を拒絶すれば、賃貸借契約の解

除事由となる。

しかし、財団では、あくまでも任意更新である。

ここが家賃債務保証の落とし穴である。

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コメント

賃貸人優位でない制度が増えれば増えるほど、顔の見える関係の個人の賃貸人が減っていきます。
賃借人の正当な権利を守ることはもちろん重要ですが……、ここでもまた、案件ごとの公平性を見張る役割が社会から欠落しているのを実感しますね。

賃貸人も賃借人も対等であるべき。との
考えが私のスタンスです。

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