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2007年11月 9日 (金)

敷金問題

敷金訴訟で、賃貸人がことごとく敗訴してます。

賃借人の援護に、

① 消費者契約法 (第10条)

②小額訴訟

③国交省ガイドライン(法的拘束力なしにも関わらず)

④ ネット情報

等々が上げられる。

あまりにも賃借人(消費者有利)に傾き過ぎてると思う。

無論、賃貸人にも敗訴するだけの原因がある。

ここで、敷金問題を取り上げてみようと思う。

さて、一つの判例から。

契約条項にペット不可と記載されてるにも関わらず、猫を飼った賃借人。

部屋を明け渡した後で、賃貸人から修繕費の請求が届いた。

元賃借人はこれを不服として訴訟を起こす。

結論は、第一審・第二審とも元賃借人が勝訴した。

おそらく、多くの賃貸人さん達は、そんな馬鹿な!と絶句されるはず。

契約条項にはペット不可。

ペット不可については、元賃借人も十分に認識しており、事実、裁判でも

この契約違反については争いません。と述べてる。

では、何故?賃借人が勝訴したのか?

元賃借人は、契約を無視して猫を飼っていたから、返還される敷金はゼロであろう。

と思ってた。ところが、追い銭の請求に納得できないと提訴したのである。

裁判では、クロス張替え・畳替え等々の賃貸人のなした工事はリフォームであり、

リフォームは次の入居者の為のものである。とバッサリと切り捨てた。

ここで、おや?と思う。

現実的に考えれば、全面的なクロスの張替えは当然。

クロスに付着した猫の毛はハウスクリーニングでは完璧に除去できない。

畳・床に染み込んだ猫の尿も張替え・新畳でしか対応できない。

畳を表替えしても、後日、ダニ等が下から浮き上がってくる。

結局、総入れ替えのリフォームとなってしまう。

だからこそ、契約条項にもペット不可と記載される。

又、ペット不可だから安心して入居したのに猫がいる。と他の入居者から

クレームがつき、他への引越費用・損害賠償を請求されてもやむ得ない。

しかし、裁判となると、これらは考慮されない(本件との因果関係云々)から

バッサリとリフォームは賃貸人負担と切り捨てられる。

さて、国交省ガイドラインを見ると虚しくなる。

賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕費等の義務を負うことについて

認識していること。

(通常以上の修繕義務)を承知して入居する者などいない。とこの文言から思われるかも

しれない。

しかし、ガイドラインが何故こんな文言を書いたのか。

もし、契約条項に(ペット可)とあり、さらに、でも、退去されるときは、修繕費用は

賃借人負担ですよ。それでもいいですね。となれば、このガイドラインの文言となる。

消費者契約法第10条にも反しない・民法の信義則にも反しない。

民法の修繕は賃貸人負担にも反しない。

もし、ペット裁判の賃貸人が、ペット可だったら、逆に勝訴してたはず。

契約条項には違反してます。のでその事については争いません。と

言いつつ、賃貸人に多大なる迷惑と費用負担を押し付けた元賃借人が

勝訴した。

なんとも虚しくなる。

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コメント

 う~ん、そんなの何かヘンだな~

 ・・・先生、質問!

 じゃあ、契約書に「約束を破ってペットを飼ったら、敷金は全額返還しない」って最初から書いておくのはどう?
 それだとまた、他の法律とかで「そんな契約書はダメです」って言われちゃうの?

 でも、少額訴訟の結果でちゃんとお金払うのかな~・・・逃げ切ったりしないの?
 強制執行で銀行口座を押さえるとしても、お金の出入りが全部止まっちゃって、大ごとになるから難しい・・・って聞いたけど~。

グッドアイデア!
でもね、問題は後始末が大変なんですね。
以前、私も経験がありますが、ペット不可にも関わらず
猫を飼っていた方がいます。
退去していただいたけど、臭いは消えない。
毛がクロスから、フワ~~っと落ちてくる。
畳も表替えしたけど、ダニが下から這い出してくる。
この後始末に手間隙がかかるんですね。

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